FURUTECHのコネクター・ケーブルホルダー「NCF Booster-Signal」が4月に発売になるのですが、それに先行したモニターに当選して1週間ほどお借りすることができました。
以前から好評を博している「NCF Booster」も似たような使い方ができましたが、今回のは台座がフラットになっていて挟み込むパーツは別売りにすることでお値段もだいぶお手頃になりました。
ちなみに別売りの「TOP CLAMP」はフラットではないものの、「NCF Booster」と比べるとだいぶ緩やかな曲線になっていて名前の通り、信号系のケーブルでの使用を強く意識したものになっています。
今回お借りしたのは製品付属分と、別売りのExtension Shaft Barのうち、4本という形です。
なお、製品発売前のテスト版だからと思われるのですが、追加の4本と製品同梱のエクストラシャフトバーは棒のネジの長さが異なっていました。
そのため、キャップとなるネジが完全にねじ込めなかったのがやや気になりました。
※後日確認したところ、製品版では同梱の短い方に統一されるとのことです。
なお付属品は以下の通りで、エクストラシャフトバーを付けない状態で棒の先端までの高さは82.5mm、エクストラシャフトバーをつけると142mmまで対応できます。
・エクストラシャフトバー2本
・シリコン固定リング2個
さて製品の紹介はこのくらいにして早速、設置してみようと予め想定していたいろんな箇所に置いて試していきました。
いちばん最初に試してみたかったのはLINN AKURATE DSの周辺です。
しかしクレイドルフラット部を一番低い位置にしたときの高さが44mmというのが結構ネックになりました。
それを想定してヒッコリーボードを下に敷き、背面の端を合わせて「カサ増し」したのですが、それでもAKURATE DSだとXLR端子やLAN端子でギリギリというところです。
XLR端子はプラグ部分は無理で、ケーブルを支える感じとなります。
また高く使うケースも考慮してだと思いますが、脚の出っ張りも結構大きめです。
アンダーボードがなければ機器の下に滑り込ませることができますが、その場合は高さがネックになってきます。
後述しますけども我が家のプリアンプ「C-280L」のようなウッドケースだと潜り込めないですし、ラックの背面に余裕がないと設置できないケースも出てくるかもしれません。
さてそのAKURATE DSのXLRケーブルに設置してまずは聴いてみますと、中高域のキツさが減って静寂感が相当高まります。先日までのLAN環境対策でだいぶ穏やかな音になっていましたが、それをさらに強化してくれたようです。
NCFは壁コンセントでも体感していますけれど余計な雑味を軽減してくれる印象で、このNCF Booster-Signalも同様の傾向が感じられます。
プラグを支えるのとケーブルでもまた違いがありそうなので、できれば高さがもう1cmくらい低いものに対応できると便利かなと思います。また当たり前ですけども、AKURATE DSのRCA端子のように縦に配置されたプラグだと下側(Rch)しか支えることができないので不向きだと思います。
お次はAKURATE DSのLANケーブルですが、効果はXLRケーブルに近く、静寂感がやはり向上してくれます。
LANターミネーターの本体部分を支えるのも良いかなと思いましたが、ラックの奥行き的にちょっと厳しいかも。
ただ音質的にはプラグ付近でも十分効果的で、落ち着いた音色になってくれて、他のLAN対策と同等に近い効果が感じられます。
XLRとLANだと、ピアノの中高域の音質はXLRのほうが本物に近い鳴り方をしてくれるように感じましたが、LANターミネーターなどの対策をしていないのであれば、こちらのほうが有用かもしれません。
お次は個人的には本命だった壁コンセントのパワーアンプ向け電源ケーブル「APL-1」の電源プラグ部分です。
このケーブルはモールド2芯+アース線という構成なので、GTX-D NCFのACOUSTIC REVIVEバージョンだとケーブルの重さで下がってきてしまう傾向があります。
そこで普段は上のCardasのプラグから釣ってあったのですが、これを解消したいなぁというわけです。
壁コンセントはかなり床面から高さがありますから、今回は、エクストラシャフトバーで底上げさせてもらいました。
製品付属のだけでは足りず、2本追加で補った形です。
Extension Shaft Barはわりとお安く設定されているのでこれを追加購入しても良いですし、ウッドブロックなどで底上げしてその上に置くのも悪くないでしょう。
こちらはAKURATE DS本体部分よりもずっと分かりやすい効果で、重心が下がってGTX-D NCFに壁コンセントを変更した時のように、ノイズが低減されてパワーアンプの駆動力も上がったような印象すらあります。
電源ケーブルを交換したような…というとちょっと大げさ過ぎるかもしれませんが、電源プラグを交換したような効果は確実に得られていると思います。
また、電源プラグもうまくチョイスしないとかえって妙な音色が乗ってしまうことがありますが、NCFを採用しただけあって、そうした余計な響きが乗らないのは流石です。
APL-1は中低域の弾むような音色が特色でもあるのですが、接続の不安定さからか、やや浮き足立った感が出るケースがあるのですが、そこがすっきり解消されています。
中低域のパワフルさが高まったことで音に厚みが出ていながら、中高域でもピアノの音に芯が通ったような鮮度の高さが感じられます。
基本的には電源ケーブルの特質を引き出す支えになってくれる印象で、APL-1の良さをさらに活かしてくれるようです。
出音としてはもうここが最善かとすら思えましたが、使っていてやや気になったのはシャフトバーが導電性の金属という部分です。現状の素材はニッケルメッキ真鍮とのことで熟慮の結果にチョイスされたものだと思いますが、延長する場合に複数の素材を組み合わせたりできても面白いかもしれません。
また、電源周りで扱ったり、音声ケーブル近隣で扱うこともあり、表面に導電性がない加工がされてあるともっと安心かもしれません。もちろんご自身で、設置時に電源を切るといった配慮は当然ながら必要となってきます。
また本体両脇のネジで高さ調整をしますが、このネジは双方を個々に締めて固定するタイプで、実験器具にあるようなネジで上下動してくれるような構造にはなっていません。
特に不便を感じるほどではありませんが、ラック背面で作業をするケースも増えるため、適度な高さに設定するには多少の慣れも必要でした。
壁コンセント部分が気に入ったものの、まずは色々試してみようということで次はプリ・パワー間の長尺のXLRケーブル(3m)に使ってみました。
ケーブルが長いですから当然ながら1個のNCF Booster-Signalでは全体は支えきれないわけですが、いろんな場所で試した結果、パワーアンプの入力に近い部分が最も効果的でした。
これも後述しますけども、信号用ケーブルでも入力に近いところのほうが効果は高い印象で、複数設置できない場合はその近辺からまず試してみることをお薦めします。
今回のケースでは、パワーアンプの入力部分がスピーカーに近い形になるため、NCF Booster-Signalの設置で振動の影響を回避できた、というのも関係しているのかもしれません。
そうした個々の環境で異なってくると思いますので、ひと通り色々試すのが良いでしょう。
また試す過程で乱雑だったケーブルを多少整えたり、一部はCardasのマートルブロックで補ったりもしましたが、どうも左右のケーブルが絡み合ってるよりも平行してキレイに並べたほうが位相の乱れが減るようです。
その点で切り込みがあるケーブルインシュレーターよりもフラットで幅広なNCF Booster-Signalのほうが優位な部分があるのではないかと感じました。
これももちろんケーブル構造や設置条件で違ってくるとは思いますが。
ただ、効果の分かりやすさという点では壁コンセントを超えるほどではなかったのもあり、次はプリアンプ背面に設置してみることにしました。
これもウチならではの課題ですけれども、LINNからのXLR入力はNEUTRIKの位相変換プラグを通してありますので、そこを支える形を試しますと、これがかなりの大当たりでした。
AKURATE DSでどうしても位相の乱れや不安定さを感じることがあったのですが、ここにNCF Booster-Signalを設置するとすっかり安定感が感じられるものになり、深みも出てくれました。
AKURATE DSの背面のXLR部に置いた場合に効果は近いのですが、音像の安定感が段違いです。
これは私感ですけども、プラグ自体を支えると安定感が、ケーブルを支えるとS/Nが改善される方向性があるように思われました。もちろん、何処にボトルネックがあるかにもよると思いますけれど、どの箇所でも予想以上の効果が得られたのは驚きを伴うものでした。
なお底面は滑り止め/衝撃吸収プレートが装備されており、下部に重心もある形ですので不安定さは全く感じません。
逆にサイズが大きいので機器の背面にしっかりしたスペースがあるか、端子の間隔などがNCF Booster-Signalの寸法と合っているかを事前に調べておくことをお薦めします。
もちろん当初想定していた場所でうまく使えなくても、何処でも効果は活きてきますので使えずに眠ってしまう心配はないと思いますけれども。
最後になりましたが、発売前の製品を試用させていただく機会を与えてくださったFURUTECH様には感謝申し上げます。
NCFの効果の高さは壁コンセントも含めてしっかり体感させていただきましたし、より多くの方に体感していただけるよう、今後はブロック形状のものといったバリエーション展開にも期待したいと思います。
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