NCF Booster Seriesはコネクタやケーブルにアタッチすることで、強力な制振効果と殊素材NCF(ナノ・クリスタル・フォーミュラ)による静電効果により音質改善を行う製品だ。「果たして、NCF Boosterは音楽制作環境においてもその効果を発揮するのか?」レコーディングエンジニアの渡辺佳志氏にご協力いただき、検証してみました。
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☆製品紹介
NCF Booster
オーディオ機器や機材に接続している電源ケーブルが外れそうな状況、重さでプラグが斜めに傾いていることに悩んだことはありませんか?
NCF Boosterはそういった問題を改善すべく、挿しこむプラグをしっかりと底面に対して平行に固定し、不安定な接続状態の導通を改善するだけでなく、プラグを上下からしっかり固定し、振動を抑え込む構造となっています。
また、フルテック独自の「マルチマテリアル・ハイブリッド構造」により、強力な制振効果とともに特殊素材のNCF(ナノ・クリスタル・フォーミュラ)が静電効果を発揮し、徹底的に音質改善のアプローチをも行った新感覚のケーブルホルダーとなります。機器裏だけでなく、壁コンセントや電源タップなどに接続されたコネクターやケーブルの振動を効果的に吸収し、それぞれのパフォーマンスを飛躍的に向上させます。静電気対策として特殊素材「NCF」を調合。強力な制振効果に加え、静電効果が高まりました。これにより、ノイズの発生を抑え、静寂感が高まり、音の濁りがなくなることにより、埋もれていた音源本来の魅力を引き出します。
NCF Booster-Signal-L
2017年に発売し大好評を得ました「NCF Booster」のフラットタイプ「NCF Booster-Signal」が2018年に発売、そしてより価格を抑えた「NCF Booster-Signal-L」が第3弾として登場しました。
電源プラグ、インレットプラグのみならず、RCAプラグ、XLRプラグ、HDMI端子、USB端子などの信号系統等、様々な箇所に対応。不安定なプラグを下部から支え、振動吸収のみならず、NCFの効果で静電気も抑えます。別売りのExtension Shaft Barなどと組み合わせて、工夫次第ではいろいろな使用方法が可能です。
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☆渡辺佳志氏プロフィール
Recording Engineer
東京生まれ、熊本育ち。GATEWAYSTUDIO 用賀で業界の草鞋を履き、2003年にビクタースタジオに移籍。以降、既成のエンジニアの枠を越えるリレーション力を発揮、多くのアーティストやプロデューサーからの厚い信頼を得る。
2017年 日本プロ録音賞 ポップス、歌謡曲部門 最優秀賞受賞
2018年より作曲家 伊藤翼とSyncStudioを立ちあげる
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インタビュアー : 渡辺さんが拠点としているSync Studioですが、株式会社アコースティックラボさんが施工されている訳ですが、電源周りもアコースティックラボさんですか?
渡辺佳志氏 : はい。200Vで引き込んでトランスでステップダウンし、117Vと102Vに分けて用意しています。エンジニアとして電源コネクター部分で気を使うことは、まずは極性を正しく接続すること。それがなによりも第一です。
インタビュアー : 機材を最適な状態で動作させるために、極性を正しく接続することは当然の優先事項ですね。今回、電源周りの環境改善をテーマに、NCF BoosterとBooster-Signal-Lをスタジオ内のいくつかの電源部分で使っていただきましたが、率直な感想をお聞かせください。
渡辺佳志氏 : 実は以前からNCF Boosterの話はエンジニア仲間から聞いていて、気にはなっていたんです。ですので、今回の取材はいいタイミングにお話をいただきました。導入後の感想ですが、まず、音がクリアになりました。余計な雑味というか、いらない成分がな無くなったという感じです。本来必要な音をマスキングしてしまっていた要素がいなくなった、ということだと思います。
インタビュアー : では、スタジオのどの部分に設置したかを教えていただけますか。
渡辺佳志氏 : NCF Boosterを導入されている方は、オーディオリスニングファンの方が多いと思いますが、私はサウンドエンジニアですので、その観点でNCF Boosterを設置する順番を考えました。パワーアンプの電源にはあえて最後に設置したんですが、なぜなら、オーディオファンの方は既にパッケージ化された音源をリスニング対象にする訳ですが、僕らサウンドエンジニアが対象にする音というのは、製品化される前の音。つまりレコーディング時やミックスダウン時の音なので、その段階でいかに本来の音がしているかということを判断する必要があります。先にパワーアンプに設置してしまうと、モニター環境から聞こえている部分だけが音がよくなってしまう可能性があるので、それでは意味が違うんです。
インタビュアー : なるほど。
渡辺佳志氏 : まずは、DAWのProToolsを動作させるMac本体へ電源を供給する壁コンセントにNCF Boosterを、
HAやコンプレッサーといった音の入り口部分に関与するアウトボード類に電源を供給している電源タップにNCF Booster-Signal-Lを設置しました。ProToolsへの音の入り口になるI/O前段の部分でNCF Boosterを使う。これが設置の上で重要なことでした。
インタビュアー : 渡辺さんのミックス作業に影響を与えたことはありますか?
渡辺佳志氏 : 音の余計な膜がなくなり、余計なEQをすることが減りました。録られている本来の音の状態に近づいたんだと思います。もしかしたら導入前は、本来必要ない余計なEQをやっていたかもしれないですね(笑) 。各楽器パーツの分離が良くなり、上の帯域が伸び、かつ、下の帯域もしっかりと出ている感じです。さらに中域のだぶつきがなくなり、すっきりと聞こえるようになりました。ただ、上の帯域が伸びているんですけど、歪みの感じが少なくなり、耳に痛くないんです。これは作業していて耳に負担を与えることが減るので、作業が楽になりました。
インタビュアー : その次にパワー・アンプへ電源を供給する壁コンセントにNCF Booster-Signal-Lを設置されたんですね。どのような効果がありましたか?
渡辺佳志氏 : はい。こちらも一緒の傾向のいい結果を得ました。音の膜が外れた感じでクリアになりましたが、加えて定位が良くなりました。センターにある楽器の音が、しっかりとセンターに位置して聞こる。あとはリバーブなど、空間が断然見えやすくなりました。
そして、さらに効果を実感したのは本当の音の入り口の意味で、マイクの部分なんです。私が気に入って使っているAKGの真空管コンデンサーマイク C12VRの電源にNCF Boosterを使ってみたんですが、この部分が一番音が変わり、大きな効果を実感しました。
インタビュアー : 本当に音の最初の入り口ですね! この部分で「本来あるべき音を録る」ということはレコーディングエンジニアとして重要ですよね。
渡辺佳志氏 : そうなんです。真空管マイクなので高い電圧で動作しますし、そもそもマイク自体が、ダイヤフラムを含め音の収録時に振動する訳なので絶大な効果を得ました。C12VRの電源を入れた時点で、既に「ジー」というノイズが発生するんですよ(笑)。NCF Boosterがない状態と比べ、1~2dBくらい収録音が大きく聞こえる感じがしました。
インタビュアー : そんなにですか! C12VRが本来持つポテンシャルを引き出せたんでしょうね。
渡辺佳志氏 : はい、「音がすごく前に来る」と感じました。これは音の入り口の瞬間に携わる、サウンドエンジニアならではのNCF Boosterの恩恵ですね。